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上海<泰康路の小さなギャラリーで写真購入>

まだ、モタモタと上海報告は続いています。(いいのかしら?)

先日の1930年建築の里弄「歩高里」からまた少し散歩して、再び瑞金二路へ。瑞金二路を少し南下すると
「泰康路(タイカンルー)」という通りに出ます。
ここは、ここ何年かでアート街として知られるようになったらしく、「地球の歩きかたMOOK上海」には「洗
練おしゃれエリア」だなんて紹介してありました。いわば上海のSOHOだと。どんなもんだろうな〜と気に
なってので来たのです。泰康路そのものは、ごく庶民的な通りではないですか。

上海<泰康路の小さなギャラリーで写真購入>_f0063645_23551280.jpg上海<泰康路の小さなギャラリーで写真購入>_f0063645_23552711.jpg

泰康路の南側は新しい塀が長く続き、その向うには、なにもない。がらーんとして、ずっと先には高層ビルが
建ち並んでいました。前には何があったのかしら..と思い、持っていた地図で確認すると里弄「新新街(シン
シンジェ)のあった場所。
「時空旅行ガイド・大上海」によると、1926年、フランス資本で建てられた里弄だそうです。東西200メート
ル弱の大きさなのに、7〜8千人もの人々が住んでいたとあります。
引用すると「当時は肉屋、タバコ屋、洋服屋、飲食店、薬局、理髪店などがあったほか、阿片窟や売春宿、賭
博場もあり、コンパクトかつ賑やかな弄堂(ロンタン=横丁)だったらしい。そこには食い詰めたフランス人
ロシア人や、日本からの独立を目指す韓国人など、様々な人々が住んでいた」......こんなにきれいさっ
ぱり取り壊される前に、是非見てみたかった.....!


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こちらは、泰康路を挟んで北側の里弄です。

ここが「洗練おしゃれエリア」?いえいえ、旅行者の
話題に上っているのはその中の「泰康路210弄 田子
坊」という路地。そこが有名な「国際芸術街」らしい
のです。

でも、こちらの路地に強く惹かれます。今まで見た里
弄より、ぐっと生活感があり猥雑な雰囲気です。

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鼻を突く臭い(匂い、じゃなくて)
が漂う路地。この一角に公共のトイ
レ...というより便所でもあるので
しょうか。
細い路地の両脇に座り込んでいる人
も格段に多い。きつい視線でこちら
を観察しています。無言で、沢山の
視線がジロジロ。

....で、私はこんな所はどうかという
と.....大好きなんだなあっ♪


でも、キリがないので一旦表の泰康路に一度出て、目的のアートの香りを捜すことにしました。とりたてて興
味を引く店もないなあと、横目で眺めていたら...小さなギャラリーに、写真作品ばかり展示しているのを発
見。皆同じカメラマンによるもののよう。

モノクロで、ごく一部だけ鮮やかな色。壁に展示してあるもの以外に重ねて置いてある作品を次々に見ていく
と、派手なインパクトはないのですが、クスリと笑わせるユーモアとチクリとささる棘を感じて、とても気に
入ってしまいました。本当は5〜10作くらいあるとその特徴が皆さんにも伝わりやすいのですけど...。
「写真集はないでしょうか?」と聞くと「ない」という。残念。あればそっちのほうがほしかった...。
幼い子どもをあやしながら、若い奥さんがキビキビ応対していたのですが、「これは全部私が撮ったものなん
ですよ」と、穏やかそうなご主人が帰ってきました。まだ初々しいご夫婦なのでした。

あまり手持ちの予算がなく、2作品だけ選んで値段の交渉。でもねえ、自分の絵だとしたら、値切られたら厭
だし(生活かかってます!)...中国では、普通のものなら値切るのが普通だし...迷いながら「200元と250元
ですが合わせて400元では?」というところで、決定。日本円ではないので、なおさら妥当な価格かどうか不
明。でも、私は満足しています。
「私、ちゃんと『中国撮影家協会会員』なんですよ」と胸を張って差し出した名刺には「陳 瑞元」とありま
した。身振りと筆談で、作品がとても、とても好きなんだ〜〜と伝えました。

私も「いい」と言われるより、「好き」だと言われるほうがうれしいので、何かを『創造』している人に
は「好き」だと言うことにしているのです。「いいですね」って、何を基準にして言っているのかわからない
し、上からものを言っているようでどうも好きになれなくて。もちろん「良くない!」なんて言われたら、立
ち上がれないですがーーー。
心からいいなぁ♪と思ったら、素直に「好き」だと伝えて、うらやましがれるようでいたいなあと思っていま
す。さらに強い褒め言葉には、「うらやましいのを通り過ぎて、くやしいよう...」と伝えるというのがありま
す。私もくやしがられてみたいけど、ま、これからね...。

上海<泰康路の小さなギャラリーで写真購入>_f0063645_23564832.jpg

こちらもずうずうしく名刺と、丁度持っていたイラストブックをお見せしてみました。陳さん、最初少々硬い
表情だった奥さんと、みんなでかなり打ち解けておしゃべりしました。

ちなみに大きいほうの写真はA3くらいのサイズで、客家の土楼を撮影したもの。
小さいほうのは....「コレはね、そこ。そこを撮ったんだよ」と向かいの空き地を指差す陳さん。壊される新
新街を日々写していたそうです。
ああ、あのシリーズ、もっと揃えたかったな。

“Vision Gallary 当代視覚芸術”
中国撮影家協会会員   陳 瑞元
上海市盧湾区泰康路320号
by kadoorie-ave | 2006-12-08 02:10 | 散歩と旅・建物
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