2017年 04月 02日 ( 3 )

MADE IN HONG KONGの駱駝牌水壺(3)黄埔の義達工業大厦 駱駝牌工場へ

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さて、何ヶ月ぶりかの香港であります。そして今回の目的の一つが、駱駝牌(唯一冷熱水壺廠)を訪ねること。
改装工事中の九龍灣の新駱駝大厦では、誰からも話を聞くことができなさそうなので、今稼働中だという
義達工業大厦(@黄埔)の工場に行くことにしました。
(事前に工場に電話をかけてくれて、当日も同行してくれた香港朋友、ありがとう!!)
これがそのビル!やや古く、それがまたなんともモダンに見えるビルです。この建物にも強烈に惹かれるなぁ。
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ビル入り口にあるポストをチェックして、駱駝牌の名前があることを確認。OK!いざエレベーターで上へ。
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工業ビルらしく素っ気ない(←そこが好き)エレベーターを降りるとそこには....おぉぉぉっ、「唯一冷熱水壺廠」の細い文字が美しく輝いている!
このフォントきれい。好きすぎる!できるものならフォントに抱きつきたいくらいっ。
しかも何でしょう、文字と壁面の色との対比の美しさは。一見黒に見えますが、実は微かにグリーンや青が潜んでいるような、シックで繊細なチャコールグレー。
細い金の文字と合う!!ビル全体の外観にもアガりましたが、その外観ともピッタリ合うすてきなセンスです。さらに素晴らしいのは、飾り気のなさ。さりげなくて大人っぽいセンス。
工場だから当たり前なのかもしれませんが。
入り口に向かっていくとガラス扉の奥に、砂漠と駱駝のイラストで有名な会社のトレードマークが光っていました!(上記イラストの右側に拡大して描きました)。

私たちの突撃に対応してくださったのは、広報担当ではなく年配の社員の方でしたが、前回書いた宏光街の新駱駝大厦がホテルになる話etc.etc...が事実だとの確認がとれました。

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さてここで少し、CAMEL VACUUM FLASK/駱駝牌「唯一冷熱水壺廠」についての説明を。

香港での魔法瓶生産は1933年ごろから始まり、次第に需要が拡大。
実業家 梁祖氏は真空フラスコを香港で安定生産しようと、1940年に「唯一冷熱水壺廠」を創業します。
そして創業後たった6ヶ月で第二次世界大戦が始まり、日本の占領で全てを失います。終戦後不屈の精神で1945年に生産再開。
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梁祖卿氏は円筒形のまっすぐな魔法瓶に、丸いラクダ印の商標プレートを付けたデザインを考案します。「駱駝牌/ Camel Brand」の誕生です。
(ウェブサイトの動画では、二代目の梁立仁氏がラクダの名を採用したとあるけれど、この点については未確認)
ラクダをトレードマークにしたのは、砂漠の旅にあって、ラクダはコブに水分を蓄えて粘り強く持ちこたえることができるから。
しかもこの商標ラベルを付けることで本体が変形しにくくなり、手から滑るのを防ぐこともできるという実用面の利点もあるそうです。
ボディに溝を入れて強度を出したNo.147のほか、美しい製品を次々生み出して順調に事業は発展していきました。
電動で真空にする機械や塗料の噴霧器なども導入。魔法瓶は各家庭の必需品となって1日400ダースも生産していた時期もあったそうです。
また哺乳瓶として使える弾丸型の小型魔法瓶も人気を博しました。
劇場でのアイスクリーム、アイスキャンディーの容器もほとんどがキャメル製品。ホテルのためのコーヒーポットも作りました。
70年代には東南アジア、ヨーロッパやアメリカにも輸出されていたといいます。

さて現在
香港には数多くの日本や海外産の魔法瓶が並んでいます。軽く性能も良いうえに、オートメーションによる大量生産が可能。
香港全体の工場の現状はというと、その多くが中国国内へ移転してしまっています。あるいは香港で生産していても、部品は中国国内からの調達が常識となっている模様。

ところが駱駝牌は今でも把手からボディなど、すべての部品を自前で作っているとのこと。時間もかかるし純利益はさほどではないのではと心配になりました。
ウェブサイトの動画を見ればよくわかることですが、機械化といっても多くを職人の手作業で行っているのですねー。(素晴らしい!)

そんな状況が大変のは想像に難くありませんが、なぜ持ちこたえられたのかな? ...と思ってさらに調べたら、これまでの不動産の扱いの判断も的確であったようなのです。
香港で残っていくには、この才能は不可欠だと何かに書いてあったっけ。

梁家は不動産にも目が効き、最初の工場のあった大咀角の棕樹街の土地を早期に購入(香港は土地定期借地権)、これは'90年に1億2千万HKドルで売却。
’47年に6万HKドル超の予算で洗衣街の土地を購入。
'09年に市建局の波鞋街(旺角の登打士街〜亞皆老街にかけての俗称。洗衣街付近)買収計画により、1億HKドルを超える収入
'81年に九龍灣に購入したビルは「新駱駝大厦」と名付けて工場とした。そして5年前にここをホテルとしてリノベーションすることを申請

「これで私たちは香港で駱駝牌のロゴプレートを放棄せず、今後も継続して製品を製造することができます。
ウェブサイトも整備します」三代目の梁澄宙氏談。スピーディーに実現してる....

知れば知るほど魅力を感じる駱駝牌、唯一冷熱水壺廠。
これからも継続して調べていけたらいいなぁと思います。


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by kadoorie-ave | 2017-04-02 19:21 | 散歩と旅・建物 | Comments(0)

MADE IN HONG KONGの駱駝牌水壺(2) 駱駝牌の古い工場がホテルになるって!!??

九龍灣宏基街3號にある古い工場はこれ。画像はGoogleのストリートビューから拾った画像です。こういうのが好きな人には沁みる建物だと思うのだけど...
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場所は九龍灣宏基街3號 新駱駝大厦!
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建物を向こう側の宏光道から見るとこんな外観。↓
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宏基街側の屋上に近い部分の壁には、駱駝牌のマークが大きく入っていてかっこいいんです、あぁたまらない!入口の「唯一冷熱水壺廠」の文字もいい!
そう「唯一冷熱水壺廠」というのが駱駝牌の会社の正式名称です。建物の中に入れなくても外側だけでも実物見たいものです。見なくては!まさか取り壊されていたりしないでしょうね...?

そこでHandsome Co.の人にまたメッセージを送って確認することにしました。
私:『九龍灣宏基街3號にある古い工場は、まだ稼働しているのでしょうか。または九龍灣ではもう生産はしておらず、九龍馬頭圍道の義達工業ビルを中心に生産している状態なのですか?』
九龍灣宏基街の新駱駝大厦を見学することはできますか』

Handsome Co.:『今は九龍灣の建物は工場としては稼働していません。この建物はもうすぐ改修され、ホテルに生まれ変わります。
        工場内は安全が確保できないので、立ち入ることはできません。』

な、な、なんと!!ホテルになるって!??
枯れきった工場の姿を見たかったーーー!でもホテルに生まれ変わるというなら、あの建築を壊さないということか?

私:『どのようなホテルになるのですか?』
Handsome Co.: 『ホテルは、新駱駝大厦のオリジナルの特徴の多くを残しています。ホテルは会社の歴史をそこに留め、記念するものになると思います。
        壁のアートからカーペットに至るまで、すべてのものが駱駝牌とは何かを物語っています。
        いくつかの部屋や廊下には、駱駝牌の古いパッケージや製品を元にしたイラストを飾る予定です。(←そのイラストはHandsome Co.が製作します)
        工場だった頃の様子がわかるように、ホテルの壁の一部はむき出しのコンクリートのまま残されます。
        近い将来、あなたもそのホテルを訪れることができますよ。』

そうだったのか。知ーらーなーかったよーーー!
ネット上で調べてみたら、なんと既にホテルのサイトも出来上がっていました(サイト内に未完成の部分はありましたが) : CAMLUX HOTEL 君立酒店
なかなかスタイリッシュで美しいホテルじゃぁありませんかっ。ベッドに付いているランプの傘が魔法瓶の頭でできていたりするようだし♪ アイディアがユニーク!
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GoogleMapを見ても、既に「君立酒店」の名に変わっています。宏光道側から見ると、こんなふうになってたんだー!
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そんなわけで、これは実際に香港で駱駝牌の関係者にお会いして確認しないといけないな...と思ったワタクシでありました。
(MEMO : 3月31日に確認した時は予約はまだできない状態で部屋の価格表示も無かったたのに、4月1日にはもう予約できる状態になっていました。早っ!
     黄埔の工場でお会いした駱駝牌のおじさんの言ったこと、またはそれを通訳してくれた友達が間違っていなければ、三ヶ月後をめどにオープンしたいって言っていたような気がするけど...
     違ったのかな。三日後だったの???)



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by kadoorie-ave | 2017-04-02 03:38 | 散歩と旅・建物 | Comments(0)

MADE IN HONG KONGの駱駝牌水壺(1) Handsome.co

Made in Hong Kongの魔法瓶・水筒として香港ではもちろんのこと、日本人香港迷にもここ数年人気のCamel Vacuum Flasks(駱駝牌水壺)。
香港のサイトでも、いくつか「日本人や台湾人観光客から人気の駱駝牌水壺が、香港でも若い人を中心に話題沸騰」的な内容の記事を見かけました。

私と駱駝牌水壺との出会いは5〜6年前。上環の朱榮記でデッドストックの魔法瓶を買ったのが最初です。それを見た香港人の友だちは、どの人も「Camelの魔法瓶はいいものです。香港で作られています」と誇らしげな顔で言うのです。その「誇らしげ」な表情と「香港製造」ということが気になって、その後駱駝牌のことを少しずつ調べていました。
ここ2年ほどは、香港の感度のいい雑貨店(←こぢんまりしているのが特徴)に駱駝牌の復刻版の水壺が並んでいたり、ずいぶん話題が増えた気がしていました。
ただ巷で話題になっているだけでなく、駱駝牌の会社自体も「やる気」を出しているような気がしました。
なにか、"打って出ている"ような感じ。さり気なく攻めてますな?駱駝牌 ...と。それも、センス良く。これはなんだろう?どうしたんだろう?
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実は前回ご紹介した「Dan Tat Monster」という面白そうなサイトを見つけた時、そのサイトは「Handsome Co.」という会社が運営していると書いてあったので、Handsome Co.のサイトに行ってみました。すると彼らのクライアント一覧の中に、なんと見慣れた駱駝牌のロゴマークがあるではないですか!Handsome Co.は駱駝牌に関わる仕事をしてる??
なるほどこんなイケてる若いクリエイター(と思われる人)たちが関わっていたのかー。だから若々しくて新しい動きが駱駝牌から感じられたのだと合点がいきました。(Handsome Co.についてはまた改めてご紹介しますね。)

さらに。その発見とほぼ同じ頃。私がインスタグラムに、テーブルで使っているレトロな駱駝牌の魔法瓶の画像を載せたところ、先程のHandsome Co.から
「この写真を駱駝牌のInstagramに転載させてほしいのですが」というメッセージが入ったのです。
なにこの偶然!!彼ら、まだ知り合いでもなんでもないのに!?
(偶然というより、彼らがネット上でも、いかに活発に駱駝牌の情報を拾ったり、広報活動をしているかってことですよね。)
Handsome Co.Camel Vacuum Flasks 駱駝牌水壺のInstagramも担当しているようで、こんなふうにRepostされてました。
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これをきっかけにHandsome co.と何回かメッセージのやり取りをしてみました。そうしたら
「僕たち、駱駝牌のInstagramだけでなくウェブサイトも作っているし 駱駝牌のFacebookも開始します。間もなく駱駝牌の歴史を知ることのできる動画もアップしますよ」と教えてくれました。

ほどなくできたそのページはこちら。既にご覧になった香港迷の方も多いはず。
(もうあっという間にできましたもんね。香港人のスピードの速さに感心。これなら目の前のチャンスも逃すまい)

⚫︎駱駝牌のサイト : http://www.madebycamel.hk
⚫︎サイト内にある駱駝牌の歴史がわかる動画 : 駱駝牌的故事
    動画はすべてHandsome Co.が作ったものだそうです。
    この動画、以前もVimeoにアップされていたのです。すごく好きで、"お気に入り"に入れていました。そこで見た九龍灣の古い工場の建物がもうたまんない!!渋い!なのにどこか洒落てる!
   …ところが、ある時期から↓こんなふうに鍵がかかって閲覧できなくなり、どうしたのだろうと悲しんでいたんです。時折動画を見ては仕事の気分転換をしていたもので。
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    また見られるようになってうれしい!これはやっぱり一度訪問したい!私は古い工場(九龍灣)の住所を調べ、Googleのストリートビューでその外観をためつすがめつ眺め、今回の香港訪問で行きたい場所の
    筆頭にしていました。
⚫︎ Facebookページ : Camel Vacuum Flasks 駱駝牌水壺

さてさて。さらに調べてみたところ、駱駝牌は現在、若い三代目の方が引き継いでいるようでした。
なるほど。それで一気にインターネットを上手に使った広報が始まり、趣味の良いデザインのサイトやロゴ、写真に動画なんかが出てきたというわけか。やるなぁ。

⚫︎若いオーナーのインタビュー動画がここに↓同じページに駱駝牌関連の動画リンク先もたくさん。
壱週Plus : 【77年老字號獨家專訪】第三代「駝主」現真身 親揭駱駝牌復刻水壺爆紅之謎 3月24日


今の若い世代には、香港の古いもの、香港らしさに価値を見出す人が多く、古くからあるものを捨て去るのではなく
その魅力をよく理解して生かし、新鮮なスタイルに生まれ変わらせる、そんなことができる人が増えてきました。
20年前と違い、デザインやアートを学んだ人もやけに多いです。
香港はどんどん変わっていき、大好きだったのに消えていくものがたくさんあります。でもそこに新しい魅力も生まれてきている。
若いセンス(ここは幅広く20〜40代ってことで)が何を生み出すか、ちょっとワクワクしていますっ。



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by kadoorie-ave | 2017-04-02 01:31 | 映画・音楽・ART・WEB | Comments(0)