好きな絵

イラストレーター向けの雑誌とか、クリエーター向けの雑誌を眺めていると、なぜかまるでパー
ティーに気後れして溶け込めず壁にはり付いているような、心細い気持ちになってしまいます。
「刺激を受けましたぁ!」とかいってワクワク創作意欲が湧くのならいいのですが、無駄にドキド
キして前に踏み出せなくなるのではなんにもならない。「リサーチ」するより今は自分の心を耕す
ほうが先決だと思えます。

自分の世界は、まるでちっぽけな庭のようです。

f0063645_10105223.jpg
どこかのすばらしい大庭園や、流行りのガーデニングの華
やかな庭とは較べられません。ただ、ささやかだけど土を
起こして種をまいたり水を遣ったりしてきました(結構長
い間!)。花の色合いなんかもよくよく考えて。全然気付
かず通り過ぎて行く人が多いかもしれないし、通路の一部
だと思ってドカドカ踏み込む人があったらひとたまりもな
く消えてしまいそうではありますけれど。

でも、ひとりで悦に入るのでなく、気付いて立ち止まって
くれた人が「おやまあ」と、一息ついてくれたらいいと思
うから、その庭の当番(私だ)は独りよがりの庭になることだけはとても恐れてきました。

なんとか明日はもっと素敵な庭にしたいというので、いわゆる自分の『仕事の分野』ではなく、掛
け値なく気持ちにぴったりくるもの、共感してテンションの上がるものを見つけると、心の宝物箱
に大切に溜め込んでいます。そのうちきっとすっごくいい肥料になるのよ♪(....適切な表現でない
かも、すみません。)それらは、素晴らしいけれど私を萎縮させないで、「自分らしくおやりよ」
と励ましてくれるものなんです。小さな声でブラボー!と叫びたくなる。

絵では、例えば、ピアニストとして知られるフジ子・ヘミングさんの絵。

f0063645_011671.jpg
「フジコ・ヘミング画集 青いバラの夢」を一昨日書店で
買ってから、ずうっと眺めています。

絵の中のドレスの柄も、ピアノを弾く人の目や手も、たく
さん登場する猫や犬、からすも....みんな、本当に見たり、
手で触れたり、愛おしく思うものばかりだということが伝
わってくる、確かな実感のこもった絵。たとえ空想や憧れ
を形にしたものであっても。

「はだかんぼうの心」で描いた表現。


殻とか、鎧とか、流行とか、いろんなものをまとわせて、ふつう人は自分を守るけど、フジ子さん
を見ているとそういうものをまとわない、素直で純粋なものを感じて、しきりに「はだかんぼう」
だなんていう言葉が浮かんで来ます。
「表現を仕事とする人」に、そういう人はチラホラと見かけます。「はだかんぼうの心」は、子ど
もっぽさと勘違いされることがあるけれど、はだかでないと自分を見誤って行く先を間違えたりし
やすいから、一糸もまとわないほうがよいのです。
だが「はだかんぼう」は結構ツライ。暑さ寒さをもろに受け、生傷も絶えない。深い傷は治るまで
大変です。それに耐えて頑張っている人を見ると、かっこいい!!と拍手したくなります。そうい
う人が好きでたまらない。(レスリー/張國榮も私には「はだかんぼう」の分類の代表格だったりす
る...。)
直感と力強さと同時に、もろく崩れ落ちそうな繊細さがあるもの、真っすぐさと揺らぎが両方見え
るもの。そういうものが、大好きです。

f0063645_0393823.jpgf0063645_0395267.jpg

f0063645_040777.jpgf0063645_0402178.jpg
(「フジコ・ヘミング画集 青いバラの夢」より)

そして例えば、桐島かれんさんの描く絵もとても好きです。ここでこれがそうですとご紹介できな
いのが残念ですが。

丁寧で緻密、繊細な絵です。どこかで見かけたなら「これがそうか」と注目してみて下さい。
[PR]
by kadoorie-ave | 2008-05-19 23:47 | 映画・音楽・ART・WEB | Comments(6)
Commented by mieru1 at 2008-05-21 12:33
絵もそうですが、人柄って全てのものに表れるなぁ、と最近とみに思うようになりました。
いくらオシャレしていても、仕草が乱れていると、「この人は上辺さえ綺麗ならそれで良いんだな。」と感じます。
表面に見えてくる全てのものは性格に起因しているな、と。
喋り方も物の考え方も。

表現系の仕事って、作品はウン○だ、なんていいますけど、その人が取り込んで消化して出て来た作品=ウン○と思えばその通りだと思います。
私はお客さんに食べてもらうことをイメージするから料理やコーヒーをイメージするの。
フィルターに創作者の好きな素材やら経験やらをセットして、濾したものが作品だって。
少しでも多くの人に喜んでもらえるコーヒー(漫画)が作れればなぁって思います。それにはやっぱり自分の好きなものを発見して取り込むのはいい「肥やし」になると思います。その肥やしを面白さに結び付けて読者に届けたいなって。

光子さんの素朴で優しいイラストがもっと多くの人の目にふれるようになるといいですね。
私も最近歳のせいか背伸びすることがどうでも良くなりましたよ!(笑)
Commented by na_geanna at 2008-05-22 01:25
ピアノも出来て絵もかける・・・
このように、表現ゆたかな人って羨ましいなぁ~
みつこさんも、イラストに食事にと表現がゆたかだもんなぁ
Commented by kadoorie-ave at 2008-05-22 11:53
>mieru1さま
喋り方や動き、表情なんかも含めて、人は見た目だと思うんです。
見抜けない...というのは、自分の所為だとして.....。
>>フィルターに創作者の好きな素材やら経験やらをセットして、濾したものが作品だって。
→ほんと私もそう思います。
「表現の仕事をしていると、出すばかりだから
時々美術館に行ったり映画を観たりして吸収しないといけないのよ〜〜」
なんて言う人もいるけど、確かにそうなんだけどウーーン、こっぱずかしくて
そんなこと口には出せません〜。
無理な向上心で話題のものを見に行ったりしなくても、本当に見たいものや聴きたいものなんかは
すっ飛んで行っているし...。きっとそれらが沈殿して気付かず私らしいものが生まれて来ると信じているんですが。
「もっと魅力的な絵にしたいんだったら、
周りの色んな音を気にしないで自分が描きたい絵や欲しいな〜と思う絵を
リラックスして描いてご覧」と、自分で自分に言ってあげないと
今だキンチョーし過ぎる自分が情けないんですけど.....
Commented by kadoorie-ave at 2008-05-22 11:57
>na_geannaさま
お〜う!ギリギリまでちゃんと冷蔵庫の中身を料理したり小手弁作ったりして偉いna_geannaさん!
頭が下がります〜!ほんとに。
na_geannaさんだってお仕事したりちゃんとそっちで暮らしたり、漢なカレー作ったりしてるじゃございませんか。
人が見たらうらやましい能力なんですってば。
お忙しいでしょうが、お体に気をつけてくださいね〜。
Commented by mieru1 at 2008-05-22 12:06
今流行りのものを取り入れるって方法は、ただ流行に流されるだけに繋がると思うんだ。
元々流行に興味がないので、自分の好きなことを煮詰めて個性を出したほうがいいんじゃないか、と思うようになりました。
得意分野を武器にするほうが、流行りの絵に埋没しなくていいんじゃないかって。
光子さんは充分武器を持っているじゃありませんか!

でもホント、絵の仕事って目に見えるものだから、消費者は見た目を一番重要視するのは確か。
あまり古臭さを感じさせないように流行をチェックするか、あるいは時間を超越した絵にさせるか。方法は色々ありそうです。
Commented by kadoorie-ave at 2008-05-23 07:49
> mieru1さま
多少の武器を自分が持っているのは知っているのですが
使わないうちに、自信がなくて仕舞い込んでしまうクセが困ったところなのです。

いわゆる流行は昔から興味がなかったのですが、ステキなもの、洒落たものは大好きです〜。
流行はチェックするものではなくて、その時代を生きて、
さらに先の空気を読み取るものでありたい..と、願っています。
今の空気の中にちゃんと身を置いていながら、醒めた目で自分は何を出すのか
冷静に考えられたらいいなあと思うんであります。
最近は少しマシなものもありますが、日本のファッション雑誌は
10〜15年くらい経つとガックリくることが多いです。
(それ以上経つとレトロな新鮮さを感じることもありますが。)
例えばMarie Claireみたいなフランスの雑誌はいつ眺めても、そういう古くささは感じないのです。
フランスの雑誌では、とんがり過ぎで頑張り過ぎのファッションは意外と見かけないので
一見斬新さに欠けるように見えるけど、珍しければいいってもんじゃないのよ....というノリに結構共感します。
だから、好き。そんなかんじでありたいんだけど...。
あれっ、思わず長くなってしまいました。失礼。
<< 青木由香さんとSumingくん... 朝日新聞社 広告月報 (200... >>