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好きな絵

イラストレーター向けの雑誌とか、クリエーター向けの雑誌を眺めていると、なぜかまるでパー
ティーに気後れして溶け込めず壁にはり付いているような、心細い気持ちになってしまいます。
「刺激を受けましたぁ!」とかいってワクワク創作意欲が湧くのならいいのですが、無駄にドキド
キして前に踏み出せなくなるのではなんにもならない。「リサーチ」するより今は自分の心を耕す
ほうが先決だと思えます。

自分の世界は、まるでちっぽけな庭のようです。

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どこかのすばらしい大庭園や、流行りのガーデニングの華
やかな庭とは較べられません。ただ、ささやかだけど土を
起こして種をまいたり水を遣ったりしてきました(結構長
い間!)。花の色合いなんかもよくよく考えて。全然気付
かず通り過ぎて行く人が多いかもしれないし、通路の一部
だと思ってドカドカ踏み込む人があったらひとたまりもな
く消えてしまいそうではありますけれど。

でも、ひとりで悦に入るのでなく、気付いて立ち止まって
くれた人が「おやまあ」と、一息ついてくれたらいいと思
うから、その庭の当番(私だ)は独りよがりの庭になることだけはとても恐れてきました。

なんとか明日はもっと素敵な庭にしたいというので、いわゆる自分の『仕事の分野』ではなく、掛
け値なく気持ちにぴったりくるもの、共感してテンションの上がるものを見つけると、心の宝物箱
に大切に溜め込んでいます。そのうちきっとすっごくいい肥料になるのよ♪(....適切な表現でない
かも、すみません。)それらは、素晴らしいけれど私を萎縮させないで、「自分らしくおやりよ」
と励ましてくれるものなんです。小さな声でブラボー!と叫びたくなる。

絵では、例えば、ピアニストとして知られるフジ子・ヘミングさんの絵。

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「フジコ・ヘミング画集 青いバラの夢」を一昨日書店で
買ってから、ずうっと眺めています。

絵の中のドレスの柄も、ピアノを弾く人の目や手も、たく
さん登場する猫や犬、からすも....みんな、本当に見たり、
手で触れたり、愛おしく思うものばかりだということが伝
わってくる、確かな実感のこもった絵。たとえ空想や憧れ
を形にしたものであっても。

「はだかんぼうの心」で描いた表現。


殻とか、鎧とか、流行とか、いろんなものをまとわせて、ふつう人は自分を守るけど、フジ子さん
を見ているとそういうものをまとわない、素直で純粋なものを感じて、しきりに「はだかんぼう」
だなんていう言葉が浮かんで来ます。
「表現を仕事とする人」に、そういう人はチラホラと見かけます。「はだかんぼうの心」は、子ど
もっぽさと勘違いされることがあるけれど、はだかでないと自分を見誤って行く先を間違えたりし
やすいから、一糸もまとわないほうがよいのです。
だが「はだかんぼう」は結構ツライ。暑さ寒さをもろに受け、生傷も絶えない。深い傷は治るまで
大変です。それに耐えて頑張っている人を見ると、かっこいい!!と拍手したくなります。そうい
う人が好きでたまらない。(レスリー/張國榮も私には「はだかんぼう」の分類の代表格だったりす
る...。)
直感と力強さと同時に、もろく崩れ落ちそうな繊細さがあるもの、真っすぐさと揺らぎが両方見え
るもの。そういうものが、大好きです。

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(「フジコ・ヘミング画集 青いバラの夢」より)

そして例えば、桐島かれんさんの描く絵もとても好きです。ここでこれがそうですとご紹介できな
いのが残念ですが。

丁寧で緻密、繊細な絵です。どこかで見かけたなら「これがそうか」と注目してみて下さい。
by kadoorie-ave | 2008-05-19 23:47 | 映画・音楽・ART・WEB
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