森茉莉の世界でぼんやり

平和島骨董市での友人は、膨大な骨董品やジャンクの中から、自分に合うものを目ざとく見つけて的確に
パッパと引っ張り出していました。その鮮やかさには感心するばかり。ああ、気持ちいい。
「ん、これはいいかも」と彼女が購入したのがガラスの器。直径20センチほどかな?深さのある器で、濃萌
葱(こきもえぎ)色をうすく鈍くしたような色のガラス製。模様も凹凸もないつるんとした形。お値ごろだ
し、一見目立たない寝ぼけたような色と形に見えるのですが、彼女の世界にとてもよく似合う。さすがだ
なぁ(他の人はこれを無視しそうなのに。)
「まどろむような色がいいですね」なんて言ってみたのですが、見つめているとガラスの向うに外国の街並
や、見たこともないボスポラス海峡だとかの風景が浮かんでくるよう。いいなぁ。
と思ったら、この感じは森茉莉さんのエッセイを読んでいるときのような気分なのでした。


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それがきっかけでスイッチが入ってしまい、久しぶりに数日間ずっと「森茉莉」さんの本を持ち歩いて、日
夜浸っていました。

森茉莉さんの本、殊にエッセイを読んでいると昔の家に帰ったようなホッとした気持ちになります。父親で
ある森鴎外とのやりとりは、私の祖母の話す娘時代を連想しておもしろいし、森茉莉が「相手が私の小説を
大変すきだと言ってくれる人だと、ねじの壊れた機会のようになって喋りつづけ、終わりがなくなり、あっ
という間に四、五時間が過ぎる」なんていうのもうれしくなるところ。
いわゆる「人の役に立つ」タイプではなく、うっかりしていて大抵ぼうっと夢うつつ...みたいなところも
いいんだなぁ〜他にもこんな人がいるんだと幸せになります。

あら、光子さん旺盛にいろんな役割をこなすじゃないと言ってくださる方があるとしたら、それは世の中に
合わせて、かなりの無理をしているからです。無理をするのはひとえに見栄っ張りのムシがそうさ
せているんだと。
もともとの幼かった光子チャンはぼうっと役にも立たない夢の中。あ〜あ。

森茉莉さんについてはこちら(ブログ/森茉莉街道をゆく)とかコチラあたりもどうぞ。ここも
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by kadoorie-ave | 2007-05-09 00:21 | | Comments(4)
Commented by shimotaka1971 at 2007-05-09 22:01

森茉莉マニアはいますよねぇ……もちろんここにも!
「森茉莉」の名前を聞いたら黙っていられず登場してしまいました。
実際にお会いしたらつき合いにくそうですけどねー……またはすっごく!気が合うか。
どっちかなー。
彼女の妹のエッセーを読んだことがあるのですが、
やはり父(森鴎外)LOVE!で、いったい鴎外ってどんな人だったんだろう……と思いました。

平和島骨董市なつかしいです!
この業界に入り立ての頃、取材しに行きました。
最近は大江戸骨董市がよかったですよー充実していて。
Commented by 王華 at 2007-05-10 20:27 x
へーあのボウルで森茉莉の世界を想像できちゃうなんてさすがっす。
あの方の生活はまさに「贅沢貧乏」だったみたいですね。でもそれは本当の贅沢を体験していないとできないこと。お金を積めば買えるもので贅沢をするのは簡単(お金さえあれば)だけど、どこにでも売っているものの中から贅沢を見いだすのは、本当にセンスがなければね。

モノのの出会いはまさに「山菜採り」に通じるもんがあると思います。
山菜もなまくらな目で見ているとただの雑草にしか見えないそうで、その中から山菜を探そうと神経を集中し、目を凝らすとそのうち山菜の部分だけ「ぽこっ」と浮いて見えるそうです。山菜採りの名人は、その感覚を磨き上げて名人になったわけで、これは山菜に限らず、自分の好きなモノ探しにも、極端な話人との出会いにも、ひいては恋愛にも通じるのではと思ったりします。
私は自分に合うがらくたを探してはや半世紀ほどですが、まだまだ一瞬の気の迷いで毒草を摘んでしまうこともあったりして・・・まだまだ修業が足りませぬ。
Commented by kadoorie-ave at 2007-05-11 07:59
>shimotaka1971さま
shimotakaさんも森茉莉マニアでしたかぁ。(私はマニアかなぁ...大好きだけど詳しくないからなぁ...。)
その昔、仲のよい友人が下北沢の近くに住んでいたので、下北沢界隈でふらぁりふらぁりと買い物する森茉莉さんを見かけたというのをよく聞きました。
その昔、桐島洋子の本を読んでいた時に「男の人というのは『=教養』だと思っているので」というような文(←かなりのうろ覚え...)を読んだ気がするのですが、そのときボウッと森鴎外のことを思い出しました。

おお、平和島骨董市もご存知なんですね。着物って骨董屋さんでも結構高価だと思っていたのですが
ここでは子どもの小遣い程度しか持っていなかった私にも、楽しくお買い物ができました。
Commented by kadoorie-ave at 2007-05-11 10:33
>王華さま
うっとりと妄想の世界に行ってしまい、今時分が何をすべきなのか、何をしていたのかすぐに忘れてしまう特技があります...。
そういえば丁度手許にあるから写すんですけど、『ほんものの贅沢』の中で「中身の心持ちが贅沢で、月給の中で楽楽と買った木綿の洋服(着替え用に二 三枚買う)を着ているお嬢さんは貧乏くさくはなくて立派に贅沢である」っていう文章、気持ちがいいな。

思い出してみたら、バブルの頃、どうにも居心地悪くてこのままでは息ができなくなってしまう!と気が狂いそうだったときに(簡単に言うと成金趣味が反省もなく日本中を覆っていたために)、酸素ボンベをつけるかわりに森茉莉さんの世界に入り浸っていたのでした。

「山菜採り」なるほどねえ。もともと、身近な蓬くらいしか摘まないタイプですが、>>一瞬の気の迷いで毒草を摘んで・・・っていうのもしばしばだなぁ、私。
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