第五回 アースダイビング<善福寺川+阿佐ヶ谷住宅>その2

桜を愛でながらの善福寺川遊歩道散歩。テクテク歩くうちに阿佐ヶ谷住宅に到着です。

いまの私の住まいのすぐそばにも、昭和30年代に建てられた公団のテラス・ハウスがありました。庭先で洗
濯物を干しながら、お年寄りが垣根越しにお隣さんと庭の花の話をしていました。路地や芝生の小さな広場
で幼い子たちが三輪車をこいだり、泥の入ったバケツを重そうに運んだりする姿なんかも普通に見受けられ
たものです。
車の来ない路地で遊ぶ子どもたちを、布団をたたきながら見守るお母さんとか。
そんな風景が大好きでした。
現在はすっかり建て替えられて、生活感のない5階建てのマンションが並んでいます。生い茂っていた庭や
路地の木々や草花も、「計画通り」の「植栽」がわずかにあるばかり。

『阿佐ヶ谷住宅』も建て替えが決まっています。

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↑これは、建物右側が「TOTAN GALLERY(トタンギャラリー)」として使われている棟。


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ここ阿佐ヶ谷住宅は、ことさら広場や庭が魅力的な場所でした。
「こんなところだったら、家なんか少しくらい狭くても気にならないね!ちょっと家の前に出て、伸び伸び
読書もできるね。子どもたちも安心して走り回れるし。こんなところだったら、どんどん子育てしたくなる
ね」と、ここで育った子どもたちがうらやましくなりました。

こういう素敵な無駄のあるゆったりした土地の使い方は、贅沢だからいけないのでしょうか。何年か前に見
たテレビ番組で、古い公団を取材に来たレポーターがそんなふうにガナっていました。そんなに日本は貧し
いのかなぁ。

とりわけ、善福寺川のそばでこんなふうに健やかに笑う子どもたちの写真を見た後では、色々考
えてしまいます。それにしてもなぁんて可愛いんでしょう♪子どもが子どもらしい輝きで満ちていて。宝物
のような写真ですねえ。

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※阿佐ヶ谷住宅「トタンギャラリー」内部の、二階へ行く階段の画像を追加いたしました。テラスハウス、
実は2階もあるんです。これまたいい感じ。
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by kadoorie-ave | 2007-04-03 04:09 | 散歩と旅・建物 | Comments(17)
Commented by 王華 at 2007-04-03 10:38 x
ううう、いいなあこの住宅・・・。平屋というところがまた何とも泣かせます。
住みたいですマジで。
2段目の写真は牛乳箱?今では牛乳を「とってる」人が少数だもんねえ。
ところでこれも公団なんですか?だとしたらやっぱり時間の問題でしょうね。残念な話です。
Commented by kadoorie-ave at 2007-04-03 13:30
>王華さま
いいですよねえ。ここは公団とはいえ、二人の著名な寒竹かが絡んでいるそうです。
団地の全体設計を行ったのが津端修一という建築家。テラスハウスのうち174戸の標準設計を行ったのが
前川國男という建築家だということです。
津端氏の設計は『地形を読み、自然を巧みに配し、周辺と馴染ませる』のが特徴で、
住戸密度も減らして取り組まれた『奇跡の団地』だと、
資料としていただいた『東京人』のコピーには書いてありました。
ああ、こういうのがもっともっと増えたらいいのになぁ。

そうそう。私のイラストだと、屋根の傾斜が足りなくて、単なる平屋に見えちゃうんですが
実は二階があるんです。それがまた魅力的でありました。地面に足の届く生活がいいなぁ。
Commented by ゆき at 2007-04-03 16:55 x
鎌倉の梶原公団もこんな感じ。
子どもは今ではあまり見かけませんが。。。

いい感じではありましたが。。建て直しするそうで。。ぁ、もうしているのかな???鎌倉、夏から帰っていないので正確な情報はわかりませんが。残念です。
Commented by 王華 at 2007-04-03 19:59 x
おお前川國男っすか。そらあいいです。つーかスゲー私でも知ってる。
そんな人が公団の設計を手がけてただなんて、当時の公団に対する姿勢が見えて面白いです。
「江戸東京たてもの園」に私邸が移築されてますが、あの中で一番好きな建物です。とーにかくカッコイイから是非見に行ってください。
Commented by gtchawk2002 at 2007-04-04 00:05
本当に綺麗な絵です。この簡単な建物は暖かいようです。香港人はマンソンに住んだばがり。。。
Commented by tam at 2007-04-04 01:36 x
イラストの力は、というより本当は描き手の力ですが、いいですね。「もの」でなく生活や場所が生き生きと思い浮かびます。きもちよく生活することより経済効率が先になって、なにもかもが消費されて建て替えられてゆくんですね。もし、ここが賃貸だったら残されたかもしれないし保存運動もできるけれど、分譲だったのでそれぞれの持ち主個人のものですから、なかなか難しいのです。
Commented by iGa at 2007-04-04 10:24 x
ここは公団の分譲でも企業が社宅として保持していた割合が大きいので、余計にそれぞれの思惑(打算)による駆け引きが働いていて難しいでしょうね。
Commented by iGa at 2007-04-05 11:03 x
>単なる平屋に見えちゃうんですが実は二階があるんです
因みに、こうして1階と2階を一つの屋根で覆い「へ」の字の形をしたものを「まねき屋根」と云います。
>そんな人が公団の設計を手がけてただなんて
「江戸東京たてもの園」に移築された自邸の階段手摺りと阿佐ケ谷テラスハウスの階段の手摺りは共通なディテールをもっていますね。
前川国男は同じ1958年に公団住宅の10階建て晴海高層アパートを設計してますが、1997年に解体され敷地は晴海トリトンの一部になってます。
Commented by kadoorie-ave at 2007-04-05 21:59
>ゆきさま
近所にあったテラスハウスでは、特にこれから広いスペースを必要としないお年寄りには
慣れた友だち、慣れた暮らしのスタイルなので楽しそうでした。
庭に出て、庭木の手入れをしたり土いじりをしたりで、テラスハウスっていいもんだなぁと思うんですけどねえ。
ちびすけのいるお家にもいいでしょうしね。
Commented by kadoorie-ave at 2007-04-05 22:07
>王華さま
そっか、「江戸東京たてもの園」は比較的近いので、(近くて微妙に交通不便)
ついついいつでも行かれるわいと思ってまだ行っておりませんでした。
やっぱり行かなくちゃ。
なぁんか、照れくさくってねえ。江戸や東京の建物好きみたいで。あ、いえ、好きなんですけれども。
Commented by kadoorie-ave at 2007-04-05 22:25
>gtchawk2002さま
わぁ、絵を褒めていただいてうれしいです♪
ここは古いけれどとてもいい雰囲気の建物が並んでいました。
香港で庭のある低層住宅というのは....大変なのでしょうねえ。 大金持ちの人の豪邸とか?
Commented by kadoorie-ave at 2007-04-05 23:38
>tamさま
なんだか妙に楽しい気持ちになるところでした、阿佐ヶ谷住宅。
眺めていると‘60年代、’70年代くらいの子どもたちがちょろちょろしているのが目に浮かんでくるし
沢山の家族のアルバムのページが次々とめくられるようでおもしろかったです。
素敵な写真を撮るのも、文章も、知識に関してもおよそ得意ではないので
せめてイラストにしてみよう..というのは、前回と同じです。
Commented by 王華 at 2007-04-06 00:14 x
江戸東京たてもの園はすんごく遊べるいい施設ですよー。
都立だけあって入園料安いし、山の手エリアと下町エリアに分かれてるのも面白いし、施設内の飲料自販機は100円(笑)。
おっしゃる通り、確かに駅からも微妙に遠くてアクセス不便なのですが。
1日遊ぶつもりで行くと、少々不便な場所もまだガマンできるかなあと。
ほとんど全ての建物に実際に入って見学できるのが何といってもいいです。
(編み上げ靴とかで行った日にゃどえらく不便)
むかしの建物は構造的に「?」と思う部分が結構あるんだけど、係の方に質問すると、大抵のことは教えてくれるのも良いです。
とにかくオススメ!激しくオススメ!!近くてうらやましい!!!
Commented by kadoorie-ave at 2007-04-06 00:57
<iGaさま
そういえば、昔はそこかしこに企業の社宅というのがあったものですね。
「会社員」という人が身近にいなかったので、社宅というのが子供心になんだかうらやましかったのを思い出しました。
ああいう屋根は「まねき屋根」っていうんですか...一つ物知りになってしまった!ありがとうございます。
どことなく楽しげな名前でまねかれてしまいたくなります。
前川国男の自邸の手摺り、ではいそいそと見に参ります「江戸東京たてもの園」へ。
Commented by kadoorie-ave at 2007-04-07 01:23
>王華さま
王華さんにそんなに強力にお薦めされては早く行って来なくては!
靴はもちろんスリッポンでねえ♪

そうそ。懐かしいものつながりで思いだした。
「横浜ノスタルジア」展、来週末までですね。行かれるかなぁ行きたいなぁ。
Commented by 高円寺のオヤジ at 2009-06-23 17:01 x
6月22日始めて、阿佐ヶ谷住宅の前を通りました。 建物を見た瞬間、
かつての米空軍家族寮、グランドハイツ(今の光が丘)を思い出しました。
コンセプトが、アメリカンハウス! イギリスのフラット!横田基地の米軍ハウスです。 自分が若い頃、学生生活を送った、イリノイ州エバンストン
のようです。 今日、初めて、阿佐ヶ谷住宅を見たとき、僕は、突然トランス状態に陥ったことは、否めない。 東京と言う過密都市で、この住宅を作った、設計者に敬服します。 今の行政では、もう2二度と、この様な住宅は生まれないであろう。 あー住みたい。 跡地に、センスのないマンションや建売できるのは、とめられないだろう。 
Commented by kadoorie‐ave at 2009-06-30 22:27 x
>高円寺のオヤジさま
高円寺のオヤジさん、ようこそ♪お返事が大変遅くなり、申し訳ありません。
阿佐ヶ谷住宅、のんびりとした解放感いっぱいのすてきなところですよね。なるほど、米軍住宅のあの感じとも共通するものがあります。車の通らないなんでもない路地やスペースって、いまはなかなか造られません。そんなに贅沢な話だと言うのでしょうか…。

ところで、光が丘って、米軍ハウスがあったところなのですか?まるで知りませんでした…
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