見たこともない世界を描くこと

図鑑ではないけれどそれに準ずる本などにイラストを描く時。私が依頼を受けるときは、大抵『資料的な正確さが欲しいのだけど、堅苦しくなりすぎるのもどうかと思う。少し楽しげな雰囲気で、見てきたように描いてほしい。』編集者からはそんな希望が多いような気がします。

資料も一応いただきますが「正確」さが必要だとすると、図版がぼけているとか途中で肝心な部分が切れていてわからないとかいうことが多くて、結局自分で徹底して調べないと描けない。私の専門の世界という訳ではないので、基礎知識もなく毎回途方に暮れます。なんとな〜く...のイメージを描けって言われたんじゃないんだもんね。
(鉄道も大変だけれど、これは現存しているだけに画像はそれなりに集められます。ただ空想で適当に...が更に許されないので、また別の意味で気を遣います。)

平安時代、古代ローマ...資料(何十枚あるいはもっと多くの画像や文献)を集めるだけで何日も何日もかかるわけですが、最近思うのは、自分はしみじみ不器用なのではないかということです。

舞台が昔であればあるほど実際に描き出すまでに熟成させる時間が必要。つまりたくさんの資料を理解して、すっかり自分自身がその世界に入り込めないとイメージが湧かないのです。
平安時代の絹を重ねた服の重みや夜の暗さ、登場人物の血の通ったリアルな容貌。古代ローマのレンガの色、町の空気感。その世界にすっかり入り込んで、それが頭の中の大きなスクリーンで動画として動き出したら、ここだと思うシーンで止めてそれを描き出すようなかんじ。

なんだかめんどくさいヤツだなあ...。職業イラスト描きとしてはこれではいかんと思うのだけど。もっと割り切ってサッサと描けないといけないんだと思う。

コマッタナア。

あの〜、解説イラストも非常に面白いし、やりがいもあるのですが、たまには気楽なものも描きたいです...ってちっちゃな声で言ってみる。



[PR]
by kadoorie-ave | 2012-09-26 18:00 | イラストの仕事 | Comments(4)
Commented by サイトウ ノリオ at 2012-09-26 20:51 x
お話をみて、イメージの具現化と資料の解釈の話のような気がしたんですが、知り合いのアニメ監督で、資料を良く読み込んでまたよくもこんなにありありと、観た事のない風景をでっちあげるよなあと感心する人がいます。
彼の作品をご紹介します。http://www.mai-mai.jp/index.html
よかったら、見てみて。
Commented by hongkonggaffe at 2012-10-13 18:00
でも、やっぱり、
お描きになったイラストを眺めていると、
それが、香港本のものであっても、この記事のお仕事の様なものであっても、
光子さんならではの絵だということが、一目で伝わります。
オリジナルをちゃんと打ち出しておられて。
(プロとして、当然のことかもしれませんが、失礼な言い方をお許しください。)
小野寺光子さんらしい、これらのイラストの持ち味が、自分はとても素敵だと思います。
Commented by kadoorie-ave at 2012-10-28 15:56
>サイトウ ノリオさま
一ヶ月もしてから返事を書く私をお許しください〜
お、「マイマイ新子と千年の魔法」の監督のかたなんですね。資料を読み込むのもキリがないことだし、観たことのない世界をでっち上げるのもイラストのように一コマでは済まない話なので、ほんと、心底尊敬します。
Commented by kadoorie-ave at 2012-10-28 16:02
>hongkonggaffeさま
なんと嬉しいお言葉。
さあどうだ!と、一世を風靡するような個性があるわけでなし(そういうイラストばかりが素晴らしいいとか、必要だと思っているわけではないのですが)、自分なりに目指している世界はあるものの時としてヨロヨロと不安でいっぱいになります故、なにより嬉しくやる気も出ます♪わーい!
<< イラストの仕事<るるぶ東京駅 ... 世界文化社「ビジュアル世界史1... >>