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クグロフとの出会い<岩波子どもの本「山のクリスマス」>

私がクグロフと出会ったのは、昔読んだ本の中で。当時は子供のお小遣いでもなんとか買えた「岩波
子どもの本」のシリーズ。なかでもこの「山のクリスマス」という本は私の心の友でした。
(今本の奥附を見たら、昭和48年8月15日第12刷発行....で、なんと¥240と書いてあります。現在
の価格は¥945です。驚き。)

クグロフとの出会い<岩波子どもの本「山のクリスマス」>_f0063645_148186.jpg最初は、子供心に地味な本だと思っていました。けれど素
朴で、読むたびに温かな気持ちにさせてくれ、飽きない本
だったのです。
作者はオーストリア生まれのルドウィッヒ・ベーメルマン
ス ( Ludwig Bemelmans )

本のカバーの折り返し部分に、内容と作者についての解説
があります。引用します。

「町の子ハンシは、チロルの山のハーマンおじさんの家へ
クリスマスを過ごしにでかけます。おじさんに、目をつぶ
ったまま、ブタの繪をかかせたり、—犬のワルドルにスキ
ーをはかせたり・・・(中略)・・・それから星月夜のき
よき夜の、谷まの教會で、クリスマスを祝い、たのしかっ
た山の思い出に、泣きたいような氣もちで、ハンシは町へ
帰っていきます。・・・」



クグロフとの出会い<岩波子どもの本「山のクリスマス」>_f0063645_148427.jpgその中の1ページ。おやつの時間にハン
シといとこのリーデルが台所に入ってい
くと...
「ひろいテーブルの上に、大きなコーヒ
ーわかしと、この絵のような、大きなお
かしが、おいてありました。黒いてんて
んは、ほしブドウです。」


「大きなコーヒーわかし」と「大きなお
かし」。いいでしょう?一切れ切ったこ
の挿絵も。

それから、ずーっとこういうお菓子をテ
ーブルに乗せてクリスマスを迎えたいと
思っていました。それでここ15年以上、
毎年毎年クグロフを焼いているという
わけです。

この本の訳編は光吉夏弥さん。リズミカルで簡潔、味わい深い文章が大好きです。他にもお気に入り
のページがいくつもあります。
たとえば、クリスマス前の最後の授業から帰ったハンシから一枚の紙(通信簿!)を渡されたおかあ
さんは...
それを、とてもよく読んで、にっこり笑いました。ハンシは、組で一番ではありませんで
したが、びりからは、ずっとはなれていました。—あんまり、いろんなことを教わるので
なにからなにまでは、あたまに、はいりにくかったのです。
...最後のところに、深く共感します...。

何よりうれしかったのは、ある日、同じく大好きだった「げんきなマドレーヌ」の絵本シリーズと並
べて見ていたら、なんと作者が同じ、ルドウィッヒ・ベーメルマンスだと知ったこ
とでした。良く読めば、本の解説にも書いてあったのですけれどね。


by kadoorie-ave | 2009-12-26 02:14 |
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